アニメーション作品の中で通常「街」は、主体であるキャラクターの背景美術として描かれる場合が多い。しかし「街」というものは、住んで いる人間、建築物、交通、そして様々なつながり(電気・ ガス・水などのライフライン、情報ネットワークなど)、そういった複数の要素が集まった集合体であり、街で起きる出来事や気候の変化などによって「街」は、さまざまに変化する。この「街」が持っている多様な様相は、背景として描くほかに効果的な表現があるのではないだろうか、と考えた。そこで本研究では、この「街」を作品の主体として設定し、街の形態をアニメーションさせることで、通常は作品の表面に現れることの少ない「街」の多様な側面を表現することを目的として、アニメーション作品の制作を行った。